|
朝から控え室ではマネージャーのRANDY高橋氏、所属レーベルのDanger CrewやMARVERIC
DCのスタッフたち、そしてスタイリングを担当する高橋恵美さん、ヘアメイクを担当する松前詠美子さんらが慌しく駆け回る。一方、ステージセットにはJimmyが愛用しているMarshall製アンプやESP製のギター、Jimmy
V "Haute Couture"がセットされ、さながらこれからライブが始まるかのような空気が漂う。そしてPVシューティングに緊急招集されたHi-Na(Gt)、Ray(Ba)、Chageeeeee...(Dr)の各メンバー。 |
|
Rayがスタッフの1人に古びたピックケースを見せていた。デビュー直後の44MAGNUMのグッズのようだ。「これ、僕のおとんのヤツなんですわ」と語る。彼の父は昔、バンドをやっていて、44MAGNUMのコピーなどをしていたという。世界のロックシーンを見れば、Van
HalenのツアーではEddieの息子のWolfgangがベーシストを勤め、The WhoのツアーではRingo Starrの息子、Zak
Starkeyがドラマーとしてサポートしている。44MAGNUMでもボーカリストのPaulを息子のSTEVIEがサポートしている。父親がコピーしていたバンドのギタリストを息子がベーシストとしてサポートすることになるというのも不思議なことではない。衣装合わせをしていたJimmyがピックケースの話を聞きつけ、やってきた。ケースを手に取り、懐かしそうに眺め、ふたを開け、「それじゃあオヤジさんにこれを」とポケットから出した自分のオリジナルピックを入れて返した。ベーシストのRayはまだ十代、その父親はJimmyより年下だという。 |
|
Jimmyは再び衣装合わせとヘアメイクに戻る。時にはジョークを交え、楽しげにしていた会話がだんだん少なくなっていく。広瀬さとしからHirose
Satoshi “Jimmy”に変わっていく瞬間だ。スタイリストの高橋恵美さんとヘアメイクの松前詠美子さんが笑顔でJimmyを送り出す。しかし、彼女たちの仕事はまだ終わった訳ではない。まずはテレビの音楽番組向けメッセージビデオの撮影からだ。メッセージの進行だけは決まっているが台本のようなものはない。「台本があるとつまらなくなってしまうし、リアリティがないから」とあくまでも生のコメントにこだわるJimmy。合間にメイクを直したり、衣装を直してもらったりと数分のメッセージビデオでも決して手を抜くことはない。4度目か5度目の撮影で終了し、再び控え室へ。しかし、納得がいっていないようで、Jimmyは「後でもう一度撮り直したい」。 |
|
休憩を挟んで、衣装をPV撮影用のものに換えて、メイクを直し、いよいよPV撮影が始まる。スケルトンタイプのマイク(50年代に使われていたタイプのヴィンテージスタイルマイクロフォン)を見て、Jimmyは「ライブハウスでのライブ感を出すなら普通のマイクロフォンの方がよいと思うけど」とスタッフにリクエスト。マイクを通常のモノに交換する。「ギターを持っていないと何だか落ち着かないんだよね」、といっていたのだが、いざ撮影が始まれば絵になるポーズを決める。バンドを入れた4、5テイクの撮影をした後、プレイバックを確認し、今度は1人での撮影に入る。PVの撮影が終わった後はテレビ番組向けのメッセージを再度収録。今度は納得がいったようだ。19時近くに撮影が終了。メッセージの再収録はあったものの、ほぼスケジュール通りの進行だった。Jimmyは衣装を脱ぎ、メイクを落としてもらう。その間、バンドのメンバーやスタッフとジョークを交わし、時折笑顔も見せている。Hirose
Satoshi “Jimmy”から広瀬さとしの顔に戻っていく。 |
以前、マネージャーのRANDY高橋氏は「こうした共同作業の場合、メンバーやスタッフ間にファミリーのような雰囲気が必要。そういう雰囲気を持つことができず、うまくいかなくなったバンドを数多く見てきた。しかし、いま、Jimmyを支えているスタッフはみんなJimmyが好きで、Jimmyもみんなが好きだ。ファミリーのようだろう?これこそが重要」と語ったことがある。Jimmyのソロアルバム「Obsession」に関わっているJimmyのファミリー、彼らがいるからこそJimmyはその輝きをさらに増すのだ。 |